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2020.5.28

[新型ウイルス]県内 休校長期化障害児放課後デイ 施設も子も親も疲弊 学校、行政との連携訴え

新型コロナウイルスへの対応が長期化する中、知的障害児や発達障害児らを預かる「放課後等デイサービス(放課後デイ)」の現場が、疲弊感を増している。衛生管理の徹底に加え、小学校などの再開状況に応じ、受け入れ態勢も頻繁に組み替えなければならないためだ。「生活の変化」が苦手な子には疲れも見えるという。懸念される第2波への備えもあり、関係者からは「障害児とその家族にとって不可欠の場。行政や学校が連携し、現場を守ってほしい」との声が上がる。

放課後デイは、障害に合わせて支援計画を作成した上で、生活能力の向上や自立を支援していく施設だ。その一つ、「ばんびくらぶ」(新潟市東区)を利用する小学1年男児の母、宮下ひろみさん(43)は「仕事を休めないからありがたい。居場所ならどこでもいいというわけでなく、ストレスがかからないよう過ごさせてもらっている」と感謝する。
ばんびくらぶでは、2月末に政府が休校要請を発表すると、従来の預かり開始は「午後2時から」だったが、急きょ「午前9時から」に変更した。4月中旬に県の緊急事態宣言が出されると、「3密」を避けるために、利用者には施設の滞在時間を午前と午後に分けてもらうように求めた。
さらに小学校などで分散登校が始まると、それぞれの児童の下校時間に合わせたお迎えサービスを続けるために、職員の態勢を組み直した。
ばんびくらぶの職員は6人で、1日に利用できるのは10人と決まっている。受け入れ態勢が変更される度に、利用登録している30人の各家庭に連絡し、調整している。
2月末からずっと「全職員で全力で頑張ってきた」。ただ、収束が見通せない今は「不安が大きい」と職員の一人は言う。
運営する社会福祉法人いぶきサポート協会の広岡優次理事長(60)は「変化に対応できずパニックになる子もいる。次々と生活スタイルが変わり、不調をきたしている」と危惧。「施設だけでなく子も親も、皆、疲れ切っている」と語る。
県によると、放課後デイは県内に131カ所あり、定員総数は1357人だ。県内のある施設の担当者は、衛生管理の難しさを指摘する。「学校の休校で子どもが施設に集まり、感染リスクを高めてしまった。マスクや手洗いが苦手な子もいて体に密着した介助もあるので、より一層の感染予防が必要なのだが…」
こうした予防などの対応は、事業所が個々に手探りで進めているのが実情だ。別の施設の関係者は「学校との調整や衛生用品の購入などでは行政の支援が必要だ」と悲鳴を上げる。
新潟市内38の事業所でつくる「市放課後等デイサービス事業所ネットワーク」の本田英明会長(46)は「事業所間の情報共有の仕組みづくり」を今後の課題とする。放課後デイの職員でもある本田さんは「非常時こそ、知恵を出し合いたい」と語る。ただ現場の多忙感は続いており、現状では仕組みづくりにまで手が回らないのも事実だ。
新潟大教育学部の有川宏幸教授=障害児心理学=は「変化が苦手な子どもたちには、いかに日常に近いレベルを保ってあげられるかが重要だ。日頃親しんでいる放課後デイや学校を子どもに合わせて使える仕組みが求められる」と強調。「第2波の到来前に、現場の人たちが話し合える機会をつくり、今こそ連携することが大事だ」と訴える。

2020年5月27日

 

写真=放課後デイ「ばんびくらぶ」の職員に見守られつつ、迎えに来た保護者と帰り支度をする児童=新潟市東区

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