子育おすすめ記事

2020.4.23

[変わる学び 第2部 どうなる?どうする?新学習指導要領]5 アクティブ・ラーニング 課題探る姿に手応え 受験対策との両立に不安

 新学習指導要領の目玉の一つで、小中高に順次導入される「主体的・対話的で深い学び」。教師が知識を教える一方通行的な授業ではなく、児童生徒が互いに意見を交わしながら理解を深める方法で、「アクティブ・ラーニング(AL)」とも呼ばれる。討論などを通じ、課題を解決する力を育てるのが目的だ。
 「塩化水素と酢酸の違いを、教科書の図を見て考えよう」「源氏物語にある『やんごとなき思い』とは、誰の、誰に対する、どういう思いなのだろうか」-。 新潟市東区の新潟東高校では2019年度、一部授業でALを先行導入した。3年生=当時=の生徒(18)は「自分だけでなく、他の人の意見を取り入れながら考えるから面白い」と話した。
 これまでの古典の授業では「『やんごとなき』は『特別な』という意味」などと、現代語訳を中心に教えてきた。しかし、ALでは自分が登場人物だったらと生徒が想像し、物語の内容を理解していく。
 関係者によると、県内ではベテラン教師を中心にALに消極的な人もいるが、授業は生徒にも好評で、授業に対する生徒の反応に教員も手応えを感じているという。

   ■    ■

 課題もある。ALは、これまでの知識を教える講義式の授業よりも時間が掛かる点だ。「授業時数が限られる中、しっかり取り入れられるのか自信がない」とある小学校教諭。ALを実践した経験のあるこの教諭は、「以前よりも児童が理解を深めていく様子が分かる。でも意見がまとまるのを待ち、それを発表する時間も必要になる」と、4月からの導入を不安視する。
 中学校では21年度から、新しい教科書が使われる。「主体的・対話的で深い学び」の全面実施に対応する記述が増えた上、教える知識量を維持したため、3年間で学ぶ各教科のページ数の総量は、前回から7・6%増えた。
 中越地方の中学校教諭は「教科書のページ数が増え、さらにALを重視すれば時間が足りなくなるのは目に見えている。授業の進行度が遅くなり、年度末はALをできないかもしれない」と打ち明ける。
 この教諭は、討論が苦手な生徒が取り残されてしまう点も懸念する。「ALの授業に積極的に加われない生徒が、その教科を嫌いになってしまわないか心配だ」

   ■    ■

 一方、多くの関係者が、受験に必要な知識を保護者から求められることは今後も変わらないとみる。
 元中学校長で長岡総合学園理事の井上惠さん(67)は「全国学力テストのような点数で他者と比較される機会を教育現場に導入する一方で、『主体的-』を掲げられ、教員はどうすればいいのか」と疑問視する。
 21年1月開始の大学入学共通テストでは、思考力や表現力を重視する「記述式問題」が見送りとなった。
 ALを実践してきた下越地方の高校教諭は「大学受験がどう変わるかが見通せない中、高校の授業で思考力を教えるのはおかしい。受験と授業の変更はセットのはずなのに」と打ち明ける。
 「やりたい授業」と「受験に合わせた授業」をどう折り合いを付けるか-。「主体的・対話的で深い学び」を推進し、その意義を感じてきた教師は、そのジレンマに頭を悩ませている。

2020年4月9日

 

記事一覧に戻る

記事一覧

今ならトライアルセットを無料でお届けします!

トライアルセットを申し込む

新潟日報の購読を申し込む