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2020.4.15

県内公立校順次再開 保護者と子、もやもや抱え 学校は向き合いケアを 識者

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、休校していた県内の公立学校の多くが順次再開し、新年度の授業が始まっている。日常が戻ってきた一方で、多くの保護者や子どもたちは、集団生活による感染の不安を拭い去れないでいる。自主的に学校を休ませる選択をした家庭も少なくない。感染の危険性をなくせない中で、どう対応すればいいのか。識者は再開に一定の理解を示しつつ「学校は保護者や子どもたちの不安にしっかりと向き合う必要がある」と訴える。

「本当に行かせていいのか。もやもやしたまま通わせている」。毎朝、娘を見送りながら、新潟市の40代のパート女性は思い悩む。
春から中学校に通い始めた娘は「あの子が話し掛けてくれた」などと、クラスでの様子を楽しそうに話す。しかし、授業や休み時間などさまざまな場面で「密集」「密接」は避けられないと思う。心配の種は尽きない。
休校の判断が市町村ごとに違っている点も、ふに落ちない。「県内に感染者が出ていない段階で一斉休校が決まったが、再開した4月6日は新潟市内の感染者は30人。1人が感染した燕市は休校延長を決めたのになぜ」と困惑する。
小学生の娘と中学生の息子がいる長岡市の40代会社員女性も新型ウイルスへの不安は消えない。だが、登校する子どもたちを見て「今まで当たり前だった日常に少し戻った気がする」との思いを強めている。
学校からは、通学のバスを待つときに間隔を空けるなど、ケース別の感染対策が書かれたプリントが配られた。学校側の苦労を感じた。今は「休校が続けば生活リズムも崩れ、学業もその分遅れる。上手に付き合っていくしかないのでは」と考えている。
子どもたちも複雑な思いを抱く。
この春3年生になった新潟市内の男子高校生(17)は、大学受験に向けた焦りと不安が入り交じる。「休校中は学校で勉強したい、しなきゃと思ったけど、目に見えないウイルスは不安」と表情を曇らせる。友人と話しながら下校していた別の高校の男子(16)も「新潟も毎日のように感染者が出ているのに、再開しちゃうんだなと思った」と話す。
未知のウイルスへの警戒心は、各家庭が登校させるかどうかの判断にも影響を及ぼしている。
新潟市では10日、市立の小中高校などに通う268人が自主的に休んだ。新潟市教委には8日までに「学校を再開して大丈夫か」「登校させることは不安」とメールや電話が計130件ほど寄せられ、その後も相次いでいる。新潟市内の市立学校では、自主的に休んだ児童・生徒らを出席停止扱いとするなど、不利益にならないよう対応している。
教育行政学が専門の雲尾周・新潟大教職大学院准教授は「感染拡大警戒地域になれば休校せざるを得ず、県内の状況は綱渡りだ」と現状を分析し「友達と会うことで心身の健康を守り、学びを保障するために学校再開は必要ではないか」と指摘。その上で「学校側は保護者の不安に向き合い、『3密』を防ぐ工夫を積極的に発信する必要がある。自主的に休む家庭がある中で、どう学びを保障していくかも考えなければいけない」と語った。

◎休校判断難しく 対応に違いも

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための休校などの判断は、学校の設置者である自治体などに任せられている。県内自治体は、感染者の確認や濃厚接触者の状況によって小中学校の休校を判断しているが、国のガイドラインに明確な基準はなく、対応の難しさを指摘する声も上がっている。
4月8日に初めて感染者が確認された聖籠町は、陽性者の感染経路が不明なことに加え、濃厚接触者である家族3人の経過を見極めるため、10日から5月6日までの小中学校の休校を決めた。町子ども教育課は「状況によっては早めに再開することもあり得る」とする。
3日に感染者が確認された燕市と、隣接する弥彦村は、6、7日に予定していた学校再開を1週間延期。阿賀野市は、7日に確認された感染者の濃厚接触者に児童1人がいたものの、陰性が確認されたことから、午前のみとしていた授業を15日から通常に戻し、休校もしない。
文部科学省のガイドラインでは、一斉休校を検討する必要があるのは「感染拡大警戒地域」だが、本県は「一定程度に収まっている地域」(花角英世知事)との認識。子どもや教職員に感染者が出た場合の指針を定めている県内自治体はあるものの、日々刻々と変わる状況の中で個別に判断を迫られているのが実情だ。ある自治体の担当者は「国や県が率先して基準を示してほしい」とこぼした。

2020年4月12日

 

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