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2020.1.25

[変わる学び 第1部 迷走大学入試]8 インタビュー 吉田研作・上智大言語教育研究センター長 英語教育、受験で改革 民間試験なら雪国に配慮

国の「英語教育の在り方に関する有識者会議」で座長を務め、大学入試改革を推進してきた吉田研作・上智大言語教育研究センター長(71)に、大学入学共通テストに民間検定試験の導入を進めてきた経緯や、見送りに至った背景などについて聞いた。
-英語4技能「読む・聞く・書く・話す」を測る試験を推進してきました。
「英語はコミュニケーションの手段であり、言葉のやりとりを通した学びが大切だ。しかし、大学入試の問題が読解中心であることを言い訳にし、多くの高校で文法・訳読を重点的に教えてきた。授業の半分以上を英語で行う教員は中学が約75%なのに、高校は50%に減るという調査がある。大学受験が読む以外を重視していないから、高校の授業はそうなってしまう。入試を変えなければ英語教育は変わらない」
-民間試験を巡り、地域格差などへの批判が高まりました。
「実施は可能だったはずだ。大半の生徒が受験するとみられた英検とGTECは、47都道府県での実施を公表し、離島も含まれていた。文部科学相の身の丈発言で、最後は政治的な判断になってしまった。見送りになり残念だ」
「民間試験は生徒自身が時期を選び、受けられる利点があった。そもそも1月に全国一律で行ってきた大学入試センター試験は、雪国にハンディがある。それこそ不公平ではないか」
-民間の試験実施団体から日程や会場が明かされず、受験生に不安が広がりました。
「民間試験の活用について、大学側の方針決定が遅れた影響がある。英検などの実施団体が受験人数を把握できず、日程調整や会場手配が難航した。民間だけに責任を押し付けるのはお門違いではないか」
-記述式問題も採点ミスなどの懸念があり、見送られました。
「マークシートはいくら良問でも、鉛筆を転がしたまぐれ当たりがあり得る。記述問題と英語の『話す・書く』は、本当の理解力を測る手段だった。記述式の採点は大学側が担うという案もあったが、負担増を懸念し民間が採点することになった。大学側で対応できず、民間が信用できないなら実施は無理だ」
-国は2024年度をめどに、英語の新テスト導入を目指しています。
「民間ではなく、共通テストの実施主体である大学入試センターが新テストを作り、実施するにしても、独自では難しい。経験やノウハウのある国内の民間との提携は、今回の件で厳しくなった。海外の団体と手を組む可能性はある。採点は難しいが、アルバイトでも正しい採点ができるよう養成することが大事だ」
-グローバル化が進む中で英語はさらに必要となります。
「英語で自己紹介ができるなど、コミュニケーションを図ることを目標にした授業は既に学校現場で展開されている。英語でできることが増えると、学ぶ意欲も高まっていく。今回の騒動を受け、4技能育成への熱が冷めてしまわないか、この先が心配だ」

=第1部おわり=

2020年1月22日

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