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2020.1.22

[変わる学び 第1部 迷走大学入試]5 安全志向 高3生「浪人できぬ」 難易度下げ志望校を選択

年の瀬、新潟市中央区のホテルに高校3年生が集まった。学習塾「NSG教育研究会 高校部クレイス」の出陣式。今週末の18、19日に行われる大学入試センター試験を受ける約100人が、気勢を上げた。
1989年度(90年1月)に始まったセンター試験は今回が最後。来年から大学入学共通テストになり、出題傾向や配点が変わる見通しだ。
3年生は浪人すると、これまで対策をしてこなかった新入試の勉強を迫られる。その心配から、確実に現役で合格しようと「安全志向」が強まっている。
新潟市の高校3年男子(18)は、国立大の理系学部が第1志望。ただ併願する私大の一部は、より難易度の低い大学に変えた。「本当はあまり行きたくない」が、浪人したくない気持ちの方が勝った。
改革の2本柱だった英語民間検定試験と記述式問題の導入は見送られたが、入試の内容はまだ確定していない。一連の迷走ぶりを見ると、来年の入試はどうなるのか分からない…。「今年、合格を決めたい」

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県内外で塾を運営するNSGアカデミー(新潟市中央区)の茅原祐也室長(36)によると、志望校の難易度を下げる高3生や浪人生は例年より多い。
東大などには大きな影響はないが、新潟大を含む地方の国公立大は近県などから志願者が集まり、倍率が上がる可能性があるという。同じ大学内で、より入りやすい学部を目指す受験生も目立つ。
また、共通テストの方針転換の遅れも3年生を悩ませる。最大の変更点だった英語民間試験と記述式の見送りが決まったのは、昨年11月以降だった。
「もっと早く見送りになっていれば難関大学や、本当に行きたい学部に挑戦できた受験生もいただろう」と茅原室長。秋から志望大学を変えて勉強し直すのは時間的に難しく、2本柱が無くなっても安全志向の流れは変わらないとみる。

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センター試験を目前に、保護者も困惑する。新潟日報社のアンケートに回答を寄せた十日町市の50代女性は、高校3年の子どもが入試を控える。浪人を避けたい中で「難しい大学を狙うのか手堅く攻めるのか、いまだにどうしていいものかと、本人はもとより家族も思案のしどころ」とし、入試改革について「本当に迷惑しています」と嘆いた。
新潟市中央区の女性(46)は長女が高3生。第1志望は国公立大だが、併願の私大だけでなく、万一に備えて専門学校も受験した。入試改革の前年でなければ、必要のない負担だったかもしれない。その改革は迷走を続け、「センター試験のままでいいのでは」という声も上がる。
共通テストは、今の高校2年生だけの問題ではない。女性は「はざまの3年生も困っている」と語り、こう続けた。「誰のための改革なのだろう」

◎AO、推薦狙いも

安全志向から一般入試自体を避ける動きもある。面接などによるアドミッション・オフィス(AO)入試や推薦入試を受け、昨年の段階で早々に合格した高校3年生は少なくない。
県内のある大学では、AO入試の志願者が前年度比で約1割増。別の県内大学も推薦入試の志願者が増えた。推薦合格した男子生徒は「クラスでも推薦で早めに決めた同級生は多い。浪人したら次が大変という不安があった」と明かす。
また、最後のセンター試験の全国の志願者は、前年度から約1万9千人減って55万7698人。減り幅は過去最大だった。
NSGアカデミーの茅原祐也室長は「定員の厳格化で首都圏の私大入試が難しくなっている影響もある。一般入試のいざこざに巻き込まれないように、という気持ちが芽生えるのは当然だろう」と指摘する。

 

2020年1月15日

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