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2020.1.17

[変わる学び 第1部 迷走大学入試]4 主体性評価 体験蓄積隠れた“柱” 経済格差や公平性に疑問

大学入学共通テストの英語民間検定試験や記述式問題の導入という「2本柱」に隠れた、大学入試改革のもう一つの柱がある。「主体性」の評価だ。
文部科学省は「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を重視。学科試験で測れない高校の学習過程や部活、ボランティア活動などの実績を資料などから評価するよう大学に求める。
県内の高校では、生徒の活動歴の資料「ポートフォリオ」をインターネット上に蓄積する動きが広がる。
新潟市中央区の東京学館新潟高校で12月、学力テストの結果表が配られると、生徒が一斉にスマートフォンを取り出した。「リスニングの復習」「古文の単語を覚える」…。専用サイトの画面に学習目標を入力した。
生徒はほかにも、看護体験の感想や部活で獲得した賞状の画像などを蓄積。これを基に高校が出願に必要な調査書を作成する。野沢信太郎教諭(42)は「生徒の様子が把握でき、サポートをしやすくなる」と利点を語る。

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一方、主体性を重視するやり方は、関係者から多くの問題点が指摘されている。一つは生徒が受験に受かるためだけの活動を選び、「真の主体性がゆがむ」という批判だ。
複数の県内大学職員は県外高校の「うわさ」を耳にした。「調査書の内容を充実させるため、ある部活の生徒が数カ月交代で部長を務めた」というものだ。
また、海外短期留学などの活動歴が重視されれば裕福な家庭の生徒が有利になり、大都市と地方の環境差も関わるとして、「公平性を損なう」との声もある。
さらに、調査書の活用は大学に委ねられ、どこまで主体性の評価が合否に関わるかは不透明だ。首都圏の大規模大学は「入学後の参考資料」にとどめるとし、県内でも複数の大学が同様の対応を取るという。
県内大学のある入試担当者は「一発勝負の試験による1点刻みは公正で平等な選抜。主体性評価が加われば公平性が保ちにくくなってしまう」と打ち明ける。
高校教諭も不安を口にする。新潟市内の進路担当教諭は「調査書を記入する教員の力量で差も出てしまう」と危惧する。

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学科試験では分からない側面が重視されることにより、子どもたちの活動の幅が広がると前向きに捉える保護者や教員もいる。
学校職員を勤める新潟市内の50代男性もその1人。高校1年の長男(15)を小学生の時から大学のイベントに参加させ、海外から同世代の子どものホームステイを何度も受け入れた。
「泣き虫で引っ込み思案だった」息子は、自分の意思で民間の海外体験事業に加わるまでに成長したという。男性は「偏差値の高い有名大学を出ても先が見えない時代。月1万円を塾代に費やすより、経験から学ばせる方が重要」と語る。
新潟第一高校(同市中央区)の生徒もポートフォリオを付ける。生徒からは「自分の興味や得意分野が分かってきた」という声も上がる。同校の中山聡教諭(54)は期待する。「これをきっかけに、生徒の視野が広がってほしい」

◎部活動や資格、具体的に記入

「主体性」評価の判断材料となる調査書には、教科の5段階評定や修得単位数のほか、今改革で重視される学習過程や部活動の記録などが記される。
文部科学省は筆記試験が中心だった「一般入試」を「一般選抜」に改称し、調査書などの資料を積極的に活用するよう大学側に促す方針。
学習の特徴▽部活動、ボランティア、留学・海外経験▽取得資格・検定▽表彰・顕彰の記録-など6項目を具体的に記入する欄が拡充され、表裏両面1枚だった制限を見直し「枚数は任意」となる見込み。
現在も書類審査や面接が中心の推薦やAO(アドミッション・オフィス)入試などで、合否判定に活用されている。

2020年1月14日

 

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