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2020.1.16

[変わる学び 第1部 迷走大学入試]3 英語4技能 見送り後も生徒意欲 期待裏切られ残念の声も

大学入試改革の柱として進められてきた英語4技能。「読む・聞く・書く・話す」の育成は、長く日本の英語教育の課題だった。
大学入学共通テストで英語の民間検定試験の導入が見送られ、これまで準備をしてきた高校2年生は憤る。しかし、導入の有無にかかわらず、県内では英語4技能の強化を積極的に進める高校がある。
12月下旬、新潟商業高校(新潟市中央区)の「異文化理解」の授業。国際教養科の2年生約20人が、英語で論戦を繰り広げていた。結婚年齢をテーマに「家族を養うため貯蓄すべきだ」と訴える晩婚容認派の意見に対し、「──love is more important(愛の方がもっと大事)」と否定派が応酬した。
「英語で思いを伝え合えるとうれしい」。積極的に発言した女子生徒(17)は充実した表情を見せた。「これからは英語で表現できる力が日常でも必要になる」と力を込める。
同校では、4技能を測る民間試験「GTEC」と英検受験を2年生全員に課した。別の女子生徒(17)は高校卒業レベルとされる英検2級に合格した。
民間試験の勉強を進めてきた中、土壇場で導入が見送られたが、この生徒は「英語への意欲が高まるきっかけになった」と前向きに捉える。今後も英会話などを頑張り大学に進み、「留学生との交流を楽しみたい」と夢を語る。
英語の三本朗子教諭(48)は「スコアアップや昇級は生徒の励みになっている」と感じる。共通テストへの導入見送り後も、生徒に「英語の資格は将来に生かせる」と伝えている。「今後も4技能教育を重視することに変わりはない」

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民間試験は高校までに身につけた英語力を入試で評価し、大学での学びにつなげる「高大接続改革」の目玉として検討されてきた。既に多くの大学が入試に活用し、高校生にも身近な存在になっている。
文部科学省の調査では、2015年度時点で民間試験を活用している大学は国立が約28%、公立が約23%で、私立は約40%。書類審査や面接が中心の推薦、AO(アドミッション・オフィス)入試が多く、学科試験による一般入試は少ない。また、学生約1万3千人の調査では37%が高校時代に民間試験を受けていた。
保護者らの英語教育への関心も高まっている。新潟日報社のアンケートでは、授業・学習内容の変化で関心ある項目を二つ選ぶ質問で、「英語教育の強化」の回答は29%と最多だった。

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「英語教育はこの10年で大きく変化し、さらに変わろうとしている」。20年余り教壇に立つ、県内の40代英語教諭は振り返る。
かつては英語で授業を進めると、生徒はけげんな顔をした。外国語指導助手(ALT)が話すと「通訳して!」と求めてきた。しかし今は違う。生徒が生き生きと英語を学び、「全身で聞いて理解してくれている」と実感する。
だから、民間試験の導入には「大賛成」だった。昨年11月に見送りが突然発表され、「国の覚悟はそんな程度だったのか」とやりきれなかった。各地に受験態勢が整っていれば、生徒は力を発揮できたはず-。期待していただけに、複雑な思いを今も抱えている。

◎一部大学は活用

英語民間検定試験は大学入学共通テストに導入される予定だったが、受験会場が都市部に偏るなど批判が高まり、見送りとなった。受験生は英検など7種類の試験から選び、今年4~12月に最大2回受験。大学は成績を加点や出願条件にする予定だった。
しかし、2020年度に実施する入試で独自に民間試験を活用する大学は県内にある。文部科学省の「大学入試英語ポータルサイト」によると、新潟産業大などが、筆記試験中心の一般選抜で活用する。同大は民間試験の受験は任意とし、受験時期は問わず、成績を得点換算する。「準備してきた受験生は多い。頑張りや能力を評価したい」と同大。新潟大工学部は書類や面接を中心にした総合型選抜で一定の成績取得を出願要件にする方針。

2020年1月9日

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