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2020.1.10

[変わる学び 第1部 迷走大学入試]1 2本柱見送り 振り回された高2生 「身の丈」大臣発言に憤り

2020年度開始の大学入学共通テストが、実施まで1年となる今も揺れている。改革の2本柱だった英語の民間検定試験、国語と数学の記述式問題は相次いで見送られ、共通テストを見据えて勉強してきた県内の高校2年生や保護者、教諭らは「今更この時期になって」「受験生の気持ちを考えていない」と戸惑い、怒りが渦巻いている。どんな試験になるのかはまだ確定していない。ことしの生活面の重点企画は「変わる学び」。第1部は迷走する大学入試改革にスポットを当て、振り回される県内の教育現場を追う。

「勘弁してほしいです」。胎内市に住む高校2年生の男子生徒(17)はつぶやいた。自分の年から大学入試が変わると前から言われてきた。受験を迎える高3直前での見直しに、不満が募る。
英語民間試験の導入は前向きに捉えていた。既に英検準2級を取得。2級合格に向けて頑張ろうとしていた矢先に、延期を知った。
記述式も学校で出た課題に取り組んでいた。ただ、不安はあった。通信教育大手ベネッセコーポレーションの記述式模試を受けたとき、友人の答案に不可解な採点があった。まさにその採点ミスへの懸念から、記述式も見送られた。
「何年も前から準備期間があったはずなのに、なぜ今になって…」。国には、受験生が安心できる制度づくりを願うばかりだ。

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英語民間試験を巡っては、会場が都市部中心だとして地域格差を広げるとの声があった。そして、萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言で、批判はさらに強まった。
7種類の民間試験のうち、47都道府県に会場を設けるとしていたのは英検とGTECだけ。その二つも、延期発表前に公表されていた県内の受験地は、英検が新潟・長岡・上越・佐渡、GTECは新潟・上越・佐渡のみだった。
十日町市や周辺の生徒が多く通う十日町高校の瀬下学教頭は「GTECの場合、新潟市まで受けに行くことも考えられた。大きなハンディだった」と話す。
大学を目指す高2の息子がいる津南町の男性(51)は「そもそも津南は都会と比べて環境に違いがある」と語る。これまでのセンター試験や大学の2次試験でも会場は遠く、宿泊が必要だった。移動の負担や費用など、都市部にはない苦労があるのが現実だ。
そこに飛び出した「身の丈」という言葉。萩生田氏はさらに「ふるさとから出て試験を受ける緊張感も大事」と、地方のハンディを当然視するような発言をした。格差を是正すべき大臣の言葉に、男性は割り切れない思いを抱いている。

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新潟日報社がメールなどで行った教育に関するアンケートでも、「身の丈発言は差別意識が見え見え」(新潟市西区・70代以上男性)などの意見があった。民間試験は受験料が高いものがある上、裕福な子ほど練習で何度も受験できるといった批判があり、「貧富に関係なく試験が行われてほしい」(同市南区・50代女性)との声も寄せられた。
高2生も経済格差を気に掛ける。燕市の女子生徒(17)は「入試は平等が大事なのに、経済的に苦しい人が不利になるのはおかしい」と納得できない。
民間試験は3年生のときに最大2回受験できることになっていた。英検を受ける予定で、検定料は1回7千円ほど。2万円を超える試験もある中ではましな方だが、母は「高いね」とこぼしていた。
萩生田氏の発言に女子生徒は憤る。「自分に関係がないから、そういうことを言えるのかな」。もっと受験生の気持ちを考えてほしい。

◎英語民間試験 会場偏在当初から懸念

共通テストの英語民間検定試験は、記述式問題と並ぶ改革の目玉だったが、萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言以前から、高校生や学校関係者らから懸念や疑問が相次いでいた。
導入の目的は「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測ること。英検など7種類があり、今年4~12月に最大2回受験できる計画だった。
しかし、受験料の負担や試験会場の都市部偏在などの課題が指摘された。昨年10月には、萩生田氏がテレビ番組で「身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張って」などと発言。批判が高まり、11月に延期が発表された。12月には記述式も見送りが決まった。

◎教育問題アンケート実施

重点企画「変わる学び」では、新潟日報社のデジタルサービスを利用できる「新潟日報パスポート」のメールマガジン登録者らを対象にアンケートを実施した。大学入試改革などについて質問し、昨年11月下旬から1月6日までに計155件の回答があった。
大学入試を巡る混乱には、批判や疑問の声が多かった。学校や教育の関心事を尋ねた質問(選択肢から三つまで選ぶ形式)では、いじめ・不登校との回答が最多の24%、教員の多忙化が22%、教育格差が15%などだった。回答者の年代は50代が最多の31%、40代が30%で続いた。小中高校生の両親のほか、現役高校生や大学生らの回答もあった。

2020年1月7日

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