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2019.8.27

なぜ?なに?教育改革 10 NIEコーディネーター・関口修司さんに聞く(上) 思考力測る入試へ

「なぜ?なに?教育改革」では今まで、2020年度に始まる大学入学共通テストの具体的なポイントや、その背景、狙いなどを紹介してきました。これまでの企画を踏まえ、教育改革問題に詳しい日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さんに聞きました。(論説編集委員・吉岡和彦)

◎出題側、進まない準備

-新しく始まる共通テストのポイントを改めて教えてください。
これまでの「知識」や「記憶力」を測る入試から、「思考力」を測る入試に変えようという点が大きいと思います。これからの人に求められるのは知識の量じゃありません。知識はデータベースやコンピューターを使えば、いくらでも調べることができる。でも問題は、それをいかに使いこなすかということで、そのための思考力を付けさせなければ、これからの社会で生きていくのは難しいということです。
-共通テストのスタートまでもう1年半を切っていますが、英語や数学で、当初の予定が変更されるなどしています。準備はうまく行っているのでしょうか。
なかなか難しいようですね。例えば問題にしても思考力を測る設問は作りづらく、評価もしにくい。これまで試行的な試験を2回実施し試行錯誤して改善しているけれど、まだ正答率の低さなどからきちっとした選別ができないという大きな問題に突き当たっている。乗り越えなきゃならない壁が、まだいくつもあるのではと思います。
-「教育改革」という視点では、大学入試改革と並行して学習指導要領の改定も進められています。文部科学省は求められる「学力の3要素」として、(1)知識と技術の確実な習得(2)((1)を基にした)思考力、判断力、表現力(3)主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度-を挙げています。
大学入試と合わせて高校以下の学校の授業も大きく変えようというのが、今進められている「教育改革」です。思考力重視といっても、これまでの知識や技能の習得((1))も大切で、それが柱の1つであることは変わりません。(3)の狙いは「学びに向かう力、人間性等」を身に付けることです。「学びに向かう力」は、昔で言う「関心、意欲、態度」。学習に対する関心や意欲がなかったら結局はやらないでしょ。「人間性」は、優れた個人も、人とコミュニケーションしたり協力したりして新しいものを創造しないといけない。重要なのはそういう力です。
-「アクティブラーニング」(主体的、対話的で深い学び)という言葉もよく聞きますが、実態がどういうものかよく周知されていないような気がします。
何かを学ぶときに受け身の姿勢はダメで、自分からやろうとしなかったら目標には到達できません。「主体的、対話的で深い学び」はそこにつながってきます。これは文科省が日本の教育を変えようと、今まで何度も言っていて、小学校では以前から工夫されて変化も生まれていますが、中学高校になるにつれ難しい状況になっています。

◎基礎学力底上げ重要

-どんな難しさですか?
高校は学校によって学力で輪切りされるので、優れた子の集まる学校なら、テーマを示せば子どもたちが何でも主体的にやってしまう。一方そうでない学校では、小中のレベルから教えなければならないところもあるわけです。そういう子たちに、高校の教育をきちっと身に付けさせるために基礎学力の底上げも大事で、この「底上げ」は実は「思考力」と並んで今回の教育改革の課題の両輪と言えます。
-アクティブラーニングを実践した授業は、教える側に負担を与えるのではと感じますが。
アクティブラーニングは方法論なので技術を伴います。人柄や適性にもかなり左右されるので、多忙な先生たちに1回研修を受けてもらえば身に付くかと言えば、それは無理なんですね。また、知識をただ教えるのではなく、生徒に「あ、これがそうか」と捉えさせるのはすごく時間がかかる。技術と時間が伴うので、先生にとって非常に大変で、厳しいことだと思います。それでいて文科省は「教える知識の量は減らさない」という方針ですが、それはとても矛盾があると思います。

<せきぐち・しゅうじ> 1955年東京都生まれ。東京学芸大卒業後、都の公立小学校教員となり、2004年から東京都の3小学校の校長を歴任した。16年から、日本新聞協会NIEコーディネーター。

 

2019年8月25日

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