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2019.8.6

トランスジェンダー 県内大学、理解徐々に 学生証に性別なし9割 通称名使用認める4割

出生時の体の性別と異なる性別で生活する「トランスジェンダー」の学生への対応について、新潟日報社は県内の大学・短大全23校にアンケート調査を行った。約9割が学生証の男女表記をしていないほか、約4割が自認する性別の名前(通称名)の使用を認めるなど、多様な性の在り方への理解が徐々に進んでいる実態が明らかになった。一方で、大学間で取り組みに温度差があることも浮き彫りになった。

2015年の文部科学省の通知により、全国の小中高校でトランスジェンダーなど性的少数者の児童生徒への対応は進んでいる。
大学での対応の実態を調べるため、新潟日報社は県内の全23大学・短大を対象に3~5月にアンケート用紙を送付、一部追加で聞き取りも行い、全校分の回答を得た。「性別の記載」「名前の取り扱い」「自認する性別に沿った施設の利用」などを尋ねた。
学生証に「男」または「女」といった性別の記載があるかについては「ない」が20校で、全体の約87%だった。敬和学園大はかつて表記があったが、「戸籍上の性別に違和感を持つ学生当事者に配慮し、16年に削除した」と答えた。「ある」と答えたのは県立看護大、長岡大、新潟リハビリテーション大の3校だった。
自認する性別の名前を学内で「使用できる(対応する)」としたのは10校で約44%。「使用できない(対応していない)」との回答は上越教育大、新潟青陵大、同短大、長岡、新潟工業短大の5校。その他は「検討する」「規定がなく回答できない」などとした。
性別に違和感を持つ学生が使いやすいトイレの有無については、「多目的トイレがある」が14校。「身体障害者用トイレが使用できる」が5校。「多目的トイレも障害者用トイレもない」は3校だった。「学内診療所に多目的トイレがあるが、講義棟にはない」というケースも1校あった。

◎取り組み進める必要ある 金沢大・岩本健良准教授

大学に求められるトランスジェンダーの学生への対応について、金沢大学人間科学系人文学類・岩本健良(たけよし)准教授(ジェンダー学、教育社会学)に聞いた。

◇   ◇

小中高と自認する性で生活を送ってきたトランスジェンダーの学生がどんどん大学に入って来ている。増えている外国人留学生の中にも性的少数者はいる。当然、大学でも取り組みを進める必要がある。
学生証は学内外で学生の身分証として提示される。トランスジェンダーの学生は外見も性自認に沿って移行していることが多いため、学生証に男女の記載があると、別人を疑われることがある。本人確認の名目で、衆人の前で自分が性的少数者であることの説明を強いられることにもなりかねず、暴露を恐れてサービスが利用しにくくなる。
制度上、20歳未満ではまだ戸籍上の性別変更ができない。「戸籍上の性別を知られたくない」という当事者は少なくない。性別記載があるために、大学生活の中で「他人に学生証を見せないように隠している」という当事者の学生もいる。
通称名の利用についても同様だ。出生時の性別に沿って名付けられた名前に違和感があったり、すでに外見を移行していたりすると、もとの「男の名前」「女の名前」のままでは社会生活に困難を感じる場合がある。現に学内で旧姓や作家名などの利用は広く認められている。通称名を使用する分には法律上は何の問題もなく、あとは各大学の裁量次第だろう。
当事者の学生にとっては学生証のほか卒業・在学証明にも通称名を記載してもらえると助かるだろう。戸籍上の性別を変更する際などに必要な、「出生時とは異なる性別で社会生活を送ることができている」という強い証拠になる。

<トランスジェンダー> 「出生時に判別された体の性」と「心の性(性自認)」が異なり、日頃は性自認に沿った生活を送っている性的少数者。服装や髪型も性自認に沿ったものを選ぶ傾向にあり、見た目と戸籍上の性別が異なることがある。いわゆるLGBTの「T」にあたる。

 

2019年7月29日

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