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2019.7.23

情報扱う普遍的な力を プログラミング教育の目標 図式化する思考鍛錬 磯部征尊・愛知教育大准教授(新潟市出身)

 2020年度から小学校で必修化され、本格的に始まるプログラミング教育。子どもたちに新たな学びが導入される背景や、課題は何か。小学校の教育現場に詳しい、新潟市出身の磯部征尊愛知教育大准教授(技術科教育)に寄稿してもらった。

 現在、社会には「急速に発達する人工知能(AI)が人間の職業を奪うのでは」と不安視する声があります。しかし仮にそのような時代になっても、普遍的に求められる力はあります。その力を子どもたちに、成長に合わせて身に付けさせることが大切になります。
 急激な技術革新で情報があふれる現代において、普遍的に求められる力は三つあります。それは情報を(1)読み解く力(2)取捨選択する力(3)図式化する力です。これからの時代を生き抜くには、新たな技術を効果的に活用し、他者に伝えることにも重点を置いて、多彩な情報を処理する能力が求められるのです。
 21世紀に入り、英米など先進国を中心に、幼稚園や小学校からプログラミング教育を導入する国が増えています。AIやロボットの活用で「第4次産業革命」ともいわれる変化が進む中、国を挙げて早い段階から科学技術分野の人材育成を図るようになったのです。
 日本でも2022年度から高校で「情報1」が必修化され、早ければ24年度に
大学入学共通テストで情報科目が導入されます。20年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるのは、その流れの一環です。
 現時点で必修化の課題は主に2点。一つはタブレット端末の配備など情報環境の整備が遅れ、地域や小学校による違いが大きいことです。もう一つは授業時間数が各学校の裁量に委ねられるため、教育内容に学校間格差が生じかねない点です。
 小学校のさまざまな教科でプログラミング的思考の育成が求められることになりますが、具体的な授業実践例が十分に示されていない状況もあります。今後、各教育委員会は
大学などと連携し、小学校の現場で活用しやすい実践例を提供することが一層必要となります。
 こういった態勢整備は国や自治体に努力を求めるほかありませんが、この教育の目標を認識しておくことが開始前の今、重要です。プログラミング教育とは、単に子どもたちにコンピューターを動かす技術を教えることではありません。
 例えば算数や理科の授業で、三角形の面積を求める方法を相手に伝える文章を書くとか、石灰水や塩酸などの水溶液の性質の判別方法をフローチャートにするといった課題を出せば、情報を取捨選択し、図式化する力の鍛錬になります。コンピューターを使わないこのような学びも、プログラミング的思考を育み、普遍的な力を身に付ける教育につながります。
 プログラミング教育の成果を高度なレベルに引き上げるには、諸外国のように小学校から高校まで一貫した情報教育の教育課程が必要です。専任教員の配置を検討することも大事な視点の一つです。

<いそべ・まさたか> 1977年新潟市生まれ。兵庫教育大
大学院修了。博士(学校教育学)。新潟県内の小学校教諭などを経て現職。専門は技術科教育、教育工学。共編著に「マンガで学ぼう! アクティブ・ラーニングの学級づくり」。

【写真】兵庫県尼崎市で開かれたプログラミング大会で、自作のロボットを動かすためパソコンで数字を打ち込む子どもたち

2019年7月17日

 

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